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ハチペイで普及が拡大!JCBが提供する、低コスト・省スペースで手軽な「NFCタグ」決済の魅力に迫る

株式会社ジェーシービー (以下:JCB)が提供する「NFCタグサービス」が、2022年11月1日より提供が開始された渋谷区独自のデジタル地域通貨「ハチペイ」で活用され、その利便性がますます注目されています。そこで今回は、その魅力と共に「ハチペイ」への導入秘話など、NFCタグ決済への熱い想いを担当の小笠原さんと辻さんに伺います。

JCBが提供する「NFCタグサービス」とは?

小笠原さん:まず「NFCタグ」について簡単にご説明すると、NFC(近距離無線通信技術=Near Field Communication)が内蔵されたチップをタグにしたもの、つまり電波を発するアンテナのような役割を果たすものをシール型にしたものです。NFCタグにスマートフォンを近づけるだけで、スマートフォンに内蔵されたNFCリーダーがNFCの電波をキャッチし、瞬時にNFCに入った情報を読み取ることができます。NFCが内蔵されたチップはクレジットカードやマイナンバーカードなどにも採用されている技術です。

今回JCBが提供する「NFCタグサービス」は、このNFCタグに入れた情報により、スマートフォンのWEBブラウザを即時に起動させることができるうえ、表示された画面上で決済ができたり、商品選択ができたりと、お買い物をよりスムーズに楽しんでいただけるように考案されたものです。構想から調査研究や実証実験などを経て、2年ほどで実装に至りました。

「NFCタグサービス」の魅力とは?

 小笠原さん:「NFCタグサービス」の魅力の1つは、前述のとおり、NFCタグにスマートフォンをかざすことで決済画面や選択画面が立ち上がり、スムーズにお買い物ができる点です。スマートフォン画面のロックを解除しておけば、アプリを探す動作やQRコードを読み取る操作などはショートカットできます。

2つめは、店舗側で決済専用の端末が必要ない点です。店頭においたNFCタグをお客様のスマートフォンで読み取っていただき、決済が完了するので、電源や通信機器なども必要ありません。
※店舗スタッフが売上管理などのために使用するタブレットやPCなどの情報機器は別途ご用意いただきます。

3つめの魅力は、店舗ごとに選択画面の表示をカスタマイズできる点です。お客様がNFCタグを読み取りスマートフォン画面でメニューを選択すれば、店舗側はテーブルでオーダーを取らずに注文を受けることができます。

実証実験ではどのようなことを?その成果は?

小笠原さん:スペースや電源、通信といった問題で現金での支払しかできなかった場所において、NFCタグを活用してキャッシュレス決済ができるようにしたいというのがJCBの狙いです。そこで考えた1つの案が、野球観戦など、スタジアムの客席を巡って飲み物を販売している売り子さんに活用してもらおうという案でした。

そもそも重い荷物を持ちながらビールを注いだり、商品を手渡したりなど両手が塞がっているなか、カード決済をするとなると決済端末を持つということが難しい。そのうえ、売り子さんそれぞれに端末が必要となるので、コストは膨大にかかります。

ところが、NFCタグであれば軽量なうえ、決済も通信もお客様のスマートフォンで完結します。また、NFCタグはひとつひとつを識別できるので、持っている人の売上を把握できる点は売り子販売においても、NFCタグは便利な機能といえるでしょう。

お客様もスポーツ観戦の最中に、わざわざお財布から現金を出してお釣りをもらってという一連の作業をせずにスマートフォン1つで事が済むので時間も手間も省かれます。大事なシーンを見逃すということも少なくなるのです。

実証実験として、京セラドーム大阪にご協力をいただいたところ、低コストかつ手軽なインフラだと事業者の方にも好評でした。

人が多く集まる場所でも列に並ばずハッピーな時間をより長く

 小笠原さん:実証実験の場としてほかにも、渋谷と池袋のHUMAXシネマにご協力いただきました。映画館の待合スペースにNFCタグを置き、お客様にスマートフォン画面上でメニューを選択し、決済していただければ、並んだ先のカウンターでメニューをオーダーし、支払う手間が省け、そのまま商品を受け取ることができます。

また店舗側から考えると、入れ替わりの多い販売スタッフにメニューや機器操作などについて教える手間が省けるというメリットも。実際に、お客様全員にこのサービスが普及すれば、決済方法についてスタッフへの教育が不要となり店舗側も楽になるというお声もいただいています。

ハチペイで拡大中!低コスト・省スペースなNFCタグ決済の認知

より便利でおトクな渋谷区ライフを後押しする「ハチペイ」に期待

「NFCタグサービス」を採用している「ハチペイ」とは?

 辻さん:「ハチペイ」は渋谷区内限定で、店舗やコミュニティ、イベントで利用ができる決済型スマートフォンアプリです。

ハチペイは渋谷区民の方はもちろん、渋谷区外にお住いの方も活用できるアプリで、渋谷区に来てもらい、渋谷区内で使ってもらおうというのが狙いです。決済金額の8%をポイント還元したり、アカウント登録で500ポイントをプレゼントしたりなどおトクなキャンペーンも2024年3月31日まで継続して開催しており、渋谷区民の方であればさらに沢山のメリットがあります。

辻さん:ハチペイが使える店舗には、このようなポスターやステッカー(写真右・左下)が目印として貼られています。決済専用の端末を用意するのが難しい小さな店舗でも、この手乗りサイズのNFCタグプレート(写真左上)さえあればサービスを開始することが可能です。
 
その手軽さゆえ、2022年11月のスタートから7カ月余りですが、加盟店の数は2,500店を超え(※1)ました。飲食店を中心に理容室や美容室、ファッション系のお店など、さまざまな業種で普及しています。ユーザー数も現段階で8万人を突破し、累計の決済金額も25億円を超えました(※1)。渋谷区民のご利用はもちろんのこと、渋谷を訪れる来街者の方を含めて、これからもっと増える見込みです。

「ハチペイ」で「NFC決済タグ」が採用されたきっかけは?

 小笠原さん:渋谷区はその土地柄もあり、新しいものにチャレンジする精神が根づいているのか、地域通貨事業を始められた際に「他ではやっていない新しいことをやりたい」というご要望をいただきました。そこで、JCBから「NFCタグサービス」を提案したところ、その手軽さや便利さ、将来性に共感いただき、採用いただいたのが経緯です。

現段階で支払い手段として「NFCタグ決済」を採用しているのは他では例がないということに加え、支払いや買い物の手間を極力省き、世の中をより便利に変えていきたいというJCBの想いも、渋谷区に採用いただけた理由だと思います。

ハチペイへの導入で工夫したことや苦労したことは?

辻さん:まず「NFCタグ」という聞き慣れないサービスを加盟店の方々にさまざまな角度から説明しなければならないということが課題にありました。そのために、決済方法などの説明会を開いたり、営業担当に直接店舗へ訪問してもらったり、DMを送ったりなど、さまざまな方向や方面でアプローチをしています。

また、渋谷区というと西は幡ヶ谷や笹塚、東は広尾や恵比寿、南は目黒駅近辺、北は南新宿まで広範囲に及びます。渋谷の中心地だけでなくこの全域をくまなく営業したというのも工夫したことです。その成果もあり、渋谷区民の生活に根づいたあらゆる店舗にサービスが広がり、渋谷区民の方々にもお喜びの声をいただいています。

ハチペイのアプリ内で使いたいお店のリクエストを受け付けているのですが、「このお店でも使えるようにして欲しい!」など熱い想いや希望を多くのユーザーからいただいています。その期待に応え、加盟店をもっと増やせるように今後も頑張っていきたいですね。

キャッシュレス化普及のハードルを下げる「NFCタグサービス」の可能性

今後「NFCタグサービス」をどのように展開していく予定ですか?

小笠原さん:ハチペイは、手軽で簡単だからという理由でキャッシュレス化を敬遠していた事業者様も活用してくださっています。その意味で「NFCタグサービス」はキャッシュレス化へのハードルを下げることができるのではと考えています。

行列に並ぶ時間をスキップ!「NFCタグサービス」でお客様の時間を有効活用できるように

 小笠原さん:前述したとおり、低コストで手軽にキャッシュレス決済を実現できるのが「NFCタグサービス」の強みなので、今回採用いただいたハチペイのような地域通貨を通して、隅々までキャッシュレスの仕組みを広げていきたいと考えています。

また、イベントや催事といった常設でお店を構えられない場所での普及もどんどん増やしていきたいですね。「NFCタグサービス」さえあれば、お客様は好きなときに買い物や決済をし、好きなときに商品を取りに行けば良いという状況をつくれます。そもそも行列に並ぶためにイベントに来場するお客様はいないわけで、「NFCタグサービス」をきっかけに、並んだりすることなく、イベントという本来の目的を存分に楽しんでいただきたい。お客様の時間を有効活用できる、そんな仕組みを提供できれば嬉しいです。

※1 2023年5月時点
※2022年12月にインタビュー実施。情報はインタビュー当時のもの。